日本話し方センター社長・横田章剛のブログ

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2022年2月1日長い話を短くするポイントとは?

先日、ベーシックコース全12回のうちの3回目が開催されました。受講生の皆さんは、3回目にしてはとても堂々と、人によっては活き活きと話をされました。とは言え、まだ3回目ですのでこれからまだまだ改善すべき余地があります。その一番のポイントが、制限時間2分に対して多くの人が2分20秒~2分40秒ほど話したことです。
つまり、話が長いのです。



20秒~40秒オーバーなんてたいした長さではないので気にならないのでは、と思われる方もいるかも知れません。しかし、実際に2分を超えるスピーチを聞いていると多くの方が「話、長いな~」と感じます。それは余計なことを話しているからです。日本話し方センターでは
必要なことを、必要な時に、必要なだけ、話す
ということをお伝えしています。余計な話をすると聞き手は「話が長い」と思うだけでなく、余計なことが邪魔をして「話がわからない」ことにもつながります。なので話はなるべく短くした方がよいのです。2分のスピーチであれば話は2分で終わらせなければなりません。

では、先日の受講生の話はどの部分が余計だったのでしょうか? それは「前置き」です。
例えば、話したいことがつぎのようなことだったとします。
「あわてて家を出たので、鍵をかけるのを忘れてしまいました。どんなに急いでいるときでも身の回りを点検すべきだと思いました」

このような話をする場合、多くの受講生は前置きをこんな感じで話します。
「その日は高校時代にとても仲がよかった友人5人と10年振りに会うのでずっと楽しみにしていました。その友人たちとはずっと同じクラブで、県大会出場を目指して高校3年の夏まで、毎日毎日、お正月も夏休みもなく厳しい練習を耐え抜きました。県大会には出場できなかったけどその時にできた絆はとても強いものになったのです。私が東京に出てきてからなかなかみんなと会う機会がなかったので『ついに会える』と思うとうれしくてたまらなかったのです。なので身支度を念入りにしていたため、家を出るのが待ち合わせに間に合うギリギリの時間になってしまいました」

実は、この長い前置きで必要なのは「高校時代にとても仲がよかった友人5人と10年振りに会うのでものすごく楽しみにしていました。念入りに身支度をしていて家を出るのが待ち合わせに間に合うギリギリの時間になってしまいました」という部分だけです。
2分間のスピーチでは500字くらいまでしか話せません。多くのことは話せないのです。この話ではあくまで「あわてていても身の回りを確認しよう」ということが言いたいのです。であれば、前置きはそれに関することだけに留めてできるだけ短くせねばなりません。上の例で言えば、県大会出場に向けて皆で切磋琢磨したなどの話は不要です。本人は思い入れが強いことなので「ぜひ話したい!」と思うでしょうが、聞き手にとっては余計な話なのです。

前置きを短くした上で、
・何故あわてて家を出たのか
・鍵をかけ忘れた時はどんな心理状態だったのか
・結局家は無事だったのか
などを具体的に話さないと聞き手には伝わりません。
「あわてていても身の回りを確認しよう」ということを聞き手に理解してもらうためには、それに必要なことだけを話さねばなりません。関係のない話が多い「前置き」は不要なのです。繰り返しになりますが、高校の時にどういう活動をしていたかは言わなくてもよく、楽しみにしていたことが聞き手に伝わればよいのです。

「言いたいこと」と「人に聞いて理解して欲しいこと」は異なります。しかしながら多くの方はこのことを意識して話をしていません。言いたいことを理解してもらうために必要なことだけを話す。そのために前置きでは必要なことだけを話す。意識していただきたいと思います。

日本話し方センターの各コースでは、話の組み立て方や伝わりやすい話し方をスピーチ実習を通して学んでいただいています。ぜひ、その効果の程を「受講者の声」でご確認ください!
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